日時:2022年5月26日(木)16:30-18:00
「大規模ヘテロダインアレイ用超伝導マイクロ波増幅器の開発」
鵜澤 佳徳さん(国立天文台)
電波天文分野では, 広視野・高分解能観測を可能にする大規模マルチビームSISヘテロダイン受信機が注目されている. 例えば, 望遠鏡のビーム角幅よりはるかに大きな分子雲などの天体を観測する場合, ビーム数がNである受信機では, 単一ビーム受信機での観測時間に比べ, 観測時間を1/N程度に短縮することが可能となる.
これまで達成されている最大ビーム数は, 870 μmを観測するためにアリゾナ大学が中心となって開発した「Super-Cam」であり, 64ビームを有し, 観測に供されている. 現在, さらにビーム数を増やして1000ビームにすることが検討されている. この際の問題点の1つは, 中間周波数(IF)増幅用の冷却低雑音増幅器の消費電力である. 現在主流となっている半導体HEMT増幅器を用いた場合, その典型的な消費電力は10mW程度であり, 単純に1000台のIF増幅器をマルチビーム受信機に搭載しようとすると, その総消費電力は10Wにも達し, 4Kステージで動作させるのは極めて困難である. この問題を回避するために, 我々はSISミキサの周波数アップ/ダウンコンバージョン時の利得を利用した新しい概念の超伝導マイクロ波増幅器を提案している. さらに, マルチビーム受信機の大規模化を阻む大型のマイクロ波コンポーネントである冷却アイソレータもSISミキサにより小型化する研究を開始した. 本講演では, これらについて紹介する.
LSTセミナーとは?
2021年12月から, 毎月1回の頻度でオンライン・セミナーを開催することにいたしました. LSTセミナーは, 将来の大型サブミリ波望遠鏡建設に向けて, サイエンス面でチャレンジしたいことや技術開発面で必要な研究を考える機会としたく思います.
講演時間と質疑応答の目安は, それぞれ60分および30分です. また, セミナー終了後, 残っていただき, 講演者の方とざっくばらんに意見交換することも可能です.
世話人は, LST Sci. & Tech. Promotion Team (lstpt あっと googlegroups.com) です.
Comments