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執筆者の写真Akio Taniguchi

第10回LSTセミナーのご案内

更新日:2022年12月7日

 
「電波観測と機械学習によるフィラメント形成の解明」

島尻 芳人さん(九州共立大学)


ハーシェル宇宙赤外線による近傍 (d < 500 pc) 星形成領域に対する探査観測により、観測したすべての分子雲でフィラメント構造が検出された。さらに、これらのフィラメントは、0.1 pc という特徴的な幅を持つことが示された。測定に用いるトレーサーが異なると同じフィラメントを測定しても幅が異なることも明らかになっている。例えば、ハーシェルでは 0.1 pc 幅のフィラメントを高密度ガストレーサーである N2H+ 分子輝線で観測すると 0.035 pc 幅と見積もられる。そのため、この幅の普遍性を明らかにするには、大質量星形成領域にあるフィラメントの幅を近傍星形成領域と同様に連続波観測から測定する必要がある。しかし、連続波で、数 kpc にある大質量星形成領域の 0.1 pc 幅のフィラメントを十分に空間分解し、広がった構造も再現できる観測装置がない。 そこで、ALMA などで高空間分解能観測が可能な分子輝線データから、H2 柱密度を予測するため、機械学習のテクニックの一つであるランダムフォレストを用いて、 オリオン座 A 分子雲の一部に対する 12CO(1–0)、13CO(1–0)、 C18O(1–0)、 H2 柱密度のデータを学習し、全体の 12CO(1–0)、13CO(1–0)、 C18O(1–0) のデータから、全体の H2柱密度を予測した。結果、予測された H2柱密度は、ハーシェルの観測で得られた H2柱密度と数%以内で一致した。同様の結果を、オリオン座 B 分子雲、 わし座分子雲、M17 においても得た。本講演では、予測された H2 柱密度の構造について詳細に議論するとともに、フィラメント形成の観測研究の観点から次世代の大型単一電波望遠鏡に対する要求についても議論をする。

 

LSTセミナーとは?

  • 2021年12月から, 毎月1回の頻度でオンライン・セミナーを開催することにいたしました. LSTセミナーは, 将来の大型サブミリ波望遠鏡建設に向けて, サイエンス面でチャレンジしたいことや技術開発面で必要な研究を考える機会としたく思います.

  • 講演時間と質疑応答の目安は, それぞれ60分および30分です. また, セミナー終了後, 残っていただき, 講演者の方とざっくばらんに意見交換することも可能です.

  • 世話人は, LST Sci. & Tech. Promotion Team (lstpt あっと googlegroups.com) です.

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