日時:2022年6月30日(木)16:30-18:00
「次世代電波単一望遠鏡で解き明かす銀河進化とその実行可能性調査」
斉藤 俊貴さん(国立天文台)
アルマ望遠鏡に代表される近年のミリ波サブミリ波観測技術の発展により、銀河の中でのバリオンの多様性、そしてその進化の多様性を単一の銀河で調べることが可能になってきた。銀河は、様々なスケールのバリオンの構造により構成される。具体的には、銀河の中心核に存在する超大質量ブラックホールや星などの極小スケールから、0.1pcスケールの分子雲コア、10-100pcスケールの分子雲や超新星残骸、そして1-10kpcスケールを超える渦状腕、棒、銀河風などの銀河の構造などである。それぞれのスケールで支配的な物理・化学プロセス等を研究し、それらの相互作用を調べることが、バリオンの進化、ひいてはその銀河の進化について知る手がかりとなる。
近年は、アルマの活躍により、局所銀河群で行われてきたような研究を多数の近傍銀河に適用できるようになり、近傍銀河で行われてきた研究を遠方銀河でも行えるようになってきている。空間分解能と天体の距離によりこれまで制限されていた分野間の交流が盛んになってきているため、これらをつなぐ近傍銀河の研究の重要性は高まってきていると考えている。
本講演ではまず、このような近傍銀河をとりまく近年の研究の進展のうち、マクロな銀河の構造とミクロな星形成・ブラックホール活動の関連に焦点を当て紹介する。ここでは、PHANGS Collaborationをはじめとするアルマ、MUSE、HSTなどの近傍銀河大型観測プロジェクトによる近年の成果を紹介する。これを踏まえて、アルマ時代において期待される次世代電波単一望遠鏡の役割について、個人的な見解を紹介する。特に、50m級単一鏡を用いた近傍銀河の簡単な擬似観測例をいくつか紹介し、アルマと比較しての長所短所・考えうるアルマとのシナジー・要求されるスペックについて議論したい。
LSTセミナーとは?
2021年12月から, 毎月1回の頻度でオンライン・セミナーを開催することにいたしました. LSTセミナーは, 将来の大型サブミリ波望遠鏡建設に向けて, サイエンス面でチャレンジしたいことや技術開発面で必要な研究を考える機会としたく思います.
講演時間と質疑応答の目安は, それぞれ60分および30分です. また, セミナー終了後, 残っていただき, 講演者の方とざっくばらんに意見交換することも可能です.
世話人は, LST Sci. & Tech. Promotion Team (lstpt あっと googlegroups.com) です.
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